ゴミ拾い海岸トレッキングしてみた

こんにちは、スタッフの寺山です。


アウトドア大好きな私は、春夏秋冬、自然を満喫しておりますが、フィールドが陸に偏りがちなのが玉にきず。知床は海と陸がつながる世界遺産ですから、海で遊んでこそ、と思うのですが、海に繰り出すのはカヌーなど道具が必要でハードルが高い。

所詮、陸上動物なので、海はちょっと怖いし・・・。


そんな、海に憧れる陸上動物の皆さん、海と陸の境界線、海岸を歩くトレッキングはどうでしょう。

海岸ですから基本的にフラットで、登山ほど体力はいらないはずです。道路から少し離れただけで、人工物の無いワイルドな世界に浸れます。道はありませんから準備を整えてチャレンジするプチアドベンチャーです。道は無くても迷うことは無いですし、常に視界の半分に海が広がり、開放感のある風景です。知床ですからクマはいますが、山側だけ気を付ければいいので比較的、気が楽?!


そんな新しいアクティビティを開拓すべく、9月中旬の知床半島の海岸を歩いてみました。




ゴミを引き受ける知床半島


海岸を歩くと、必ず目に付くものに、漂着ゴミがあります。

各所でゴミ拾いイベントが行われていますが、道路わきより海岸線の方がゴミがあり、かつ大量です。今回歩いたエリアでもけっこうな量のゴミが落ちています。これは、他の地域よりマナーが悪い人がたくさんいる、というわけではなく、知床半島が、海流によってちょうどゴミ受け止める形をしていることによります。実は、知床には遠くから運ばれた多くのゴミが漂着しているのです。

ここら辺のお話は、2020年にNHKで放送された「海洋ゴミと知床」を参照ください。





近年海洋プラスチックゴミが大きな問題となっています。

特に海上に漂っているゴミを回収するには大変コストがかかるそうです。

ゴミが漂着した、ということは、回収するチャンスです。

漂着したゴミは嵐などで再流出するまで平均で2週間程度、海岸に滞在したというようなレポートも読んだことがあります。ゴミが海岸にあるうちに、歩いて行って拾う、というのは、とても効率のいい海洋プラスチック対策の一つかもしれません。

せっかく自然の中で遊ばせていただいていますので、歩くのがつらくない程度、片手で持てる分まで、ゴミを拾うことにしました。


歩き始めて1時間しないうちに、ゴミ袋はいっぱいに。あとはゴミ袋片手に、まだまだあるゴミを横目に歩き続きました。

海を眺め、クマの気配を感じ、時に釣り人たちと会話し、海岸を歩き、ゴミを拾う。

ゴミってなんだろう・・・、

どこの国のだれが出したのかわかりませんが、彼らの暮らしの一部であることは間違いありません。それがある時を境にゴミと呼ばれるものになる。私の暮らしも、巡り巡って誰かの足元に流れ着いているゴミかもしれません。人はゴミを生みながら生きていく。それでも、歩きながら、ふと、ゴミを拾う。海岸の不安定な玉石を踏みながら、そんなことを考えていました。





観光客が来れば来るほど自然が守られるしくみ


せっかくだから、来年これをツアーにできないか、と考えています。


近年は多くの旅行者が来ることによって、自然や地域の文化・生活を悪化させるオーバーツーリズムという言葉が注目され、観光客の皆さんは少し肩身が狭く感じているところではないでしょうか。私は観光客自身が故意に旅先に迷惑をかけようしているとは思いませんので、旅人を揶揄するそんな風潮を申し訳なく感じています。

自然に配慮した旅行をエコツアーと言い、少人数で組み立てるなど、壊さないように遊ぶ、という考えです。私は知床に来る方の中には、もう少し積極的に、貢献しながら遊ぶ、というニーズがあると感じています。ビジターが来れば来るほど自然が守られる、という仕組みを提案できないか、と考えていました。


ゴミ拾い海岸トレッキングを、楽しいアクティビティとしてデザインできたら、

遊びつつ海洋プラスチック問題の解決に貢献することができます。

たくさんの人が歩いても植生への影響はなさそうです。

拾うべきゴミは海流が持続的に集めてくれるので、参加者が増え、継続すればするほど海洋ゴミ問題の解決にささやかながら貢献できます。


ちなみに今回は、できるだけ車を使わず、斜里からウトロに向かう公共バスを使って、途中下車で参加できる行程を試してみました。終点には眺めのいい喫茶店があり、バスを待ちながら休憩もできます。

残念ながら歩いてみると、玉石が多い海岸を歩くのは大変で、半日ツアーとしてはハードすぎました。まだまだ改良が必要ですが、将来はガイドなしで、いつでも参加でき、公共のバスも活用できるような仕組みにして、旅人にも自然にも地域にも歓迎されることを目指したいと思っています。



実現への課題


旅人が来れば来るほど自然が守られる、素晴らしい話ですが、もちろん課題はたくさんあります。

まず、拾ったゴミはどうなるか、という点です。

集めたゴミの処理はその地域の市町村の仕事と定められています。世界中から流れ着くゴミを、たくさんの観光客が集め、それを人口1万人の地元の町の税金と施設で処理せよ、というのは明らかにバランスが悪い。

環境を守ろうと思ってみんなで集めたゴミが地域のコミュニティを圧迫するというのは、持続可能な仕組みではありません。

集めたゴミを適切に処理する仕組みも含め悩んでいくことになります。


いずれにしても、私たちは知床に暮らしています。

自らゴミを出しながらも、世界中から知床を目指す旅人やゴミ(?!)にも向き合い、この地の価値や暮らしを引き継ぐために悩み、歩き続けるのが使命だと思っています。


海の世界遺産である知床半島が、海洋ゴミを受け止める形をしていた、ということは、もしかしたら象徴的なことかもしれません。






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